イートキャンパスクラブ

第5回 特別講座 
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2021年12月9日(木)開催
イートキャンパスクラブ 第5回 特別講座

「レストランにおけるイートイン以外のフードビジネス展開のあるべき方向性」

【登壇者】

メインゲスト
釜津田 健氏(麻布十番 『釜津田 』 シェフ)
サブゲスト
米田 英敏 氏(株式会社Cqree 取締役)
ファシリテーター
本田勝之助氏(本田屋代表)、綿引浩之(イートキャンパス株式会社代表取締役)

講座ダイジェスト

(本講座は討議のキーワードを拾いました)

以下から本講座の資料をダウンロードいただけます。

スペシャルゲスト自己紹介(シェフの起業からの変遷他)

(釜津田氏)
2015年1月に麻布十番の「釜津田」を開業した後、たまたま、向かいの店が空いたので、翌年、テイクアウト専門業態「ラ・シャルキュトリー釜津田」を開業したことがきっかけ。

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今日のお弁当は、最もスタンダードなお弁当の一つになっている。あくまで洋風弁当として、仕上げていて、フォアグラとローストビーフをメインになっている。
15才で料理の道に入った。六本木グランドハイアットのフレンチキッチンの立ち上げ他ホテルの料理部門をいくつか経験して、いくつかの街場レストランを経験した上で、シェ・マルミットというお店を麻布十番に開業させ、その後、現在の「釜津田」を開業させた。
開業して、約7年になる。カウンターがまったくフラットになっていて、料理するすべてが見える環境で、お客様と料理の距離感を縮めることを目標にお店を作った。
開業後は、たまたま、いくつかの大使館に近かったこともあってか、様々なケータリングのオーダーを頂いた。
たまたま、その中で、目の前に約9坪の路面店が空いてので、ケータリング専門店をつくってみた。
最初は、テイクアウト中心のお店を作って、テイクアウト、お弁当、ケータリングをやっていた。

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釜津田でご用意いただいたお弁当

最初テイクアウトが日商20万円くらいからスタートしたが、その後、コロナが来て、デリバリの需要が急増したこともあって、お弁当、デリバリに重点をおいたシフトにしていった。
自分の食に対する想いは、レストランは、日本の食材を活かして、フランス料理の技法を使っていくが、デリバリは、時間が経っても美味しく食べられるような作り方を工夫している。
シークリーさんとの出会いは、2018年からケータリングからスタートしてからだ。自社だけでは、やれる量が限られているので、最初は、コロナ前だったが、毎日何百食も出していた。
これが、シークリーさんのようなプロが入って、食べ手の心理がわかっている方が入って、一緒にメニューを考えて頂けて、非常にニーズにあったお弁当を作れるようになっている。

食が未来を作っている。という信念、それを伝える使命だと思っている。
あくまで、レストランは続けていく覚悟をもって、継続していくつもりである。
但し、コロナ後は特に、イートインだけのレストランがそんなにすごい売上、集客が見込めるものでもないことを踏まえて、今後のイートイン以外の食ビジネスを考えていきたい。
又、日本人が心身ともに健康になれる仕事を心掛けていきたい。
あくまで、自分のスタイルをレストランで表現しながら、こうしたレストラン以外のビジネスをシークリーさんと組んで、取り組んでいきたい。

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その中には、冷凍の自動販売機のようなことも注目している。
もうけよりも、健康になれる食事をどうつくるかという視点で、こうした食事業を展開していきたい。これをお店のスタッフにも伝えている。
今後は、医食同源というような視点でも社団法人を立ち上げて展開もしていきたい。

サブゲストからの事例紹介(シークリーの展開の変遷)

(米田氏)
元々、ぐるなび入社で、レストラン外販事業を担当した。(2008年)その後、2014年に株式会社Cqree(シークリー)の設立。結膳という高級弁当のサイトを立ち上げた。
新規事業の企画を主にやってきた。(どういう商品が売れるかをやってきたい)
シークリーは、中食に特化した動きをしている。最初は、高級弁当として、結膳を立ち上げて、継続的にやっている。最初は、学会用のお弁当からスタートしている。
おかげ様で、製薬会社関連では、シェアNO.1になっている。その後は、ケータリングサービスや、テイクアウトのアプリも立ち上げている。

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この中で、離れた場所に住んでいる方々に共通のサービスを提供できていることも売りの一つになっている。(ハコシェフ)
その後、釜津田シェフとは、お弁当、テイクアウト他でのジョイントが始まった。
コロナが始まった後、キッチンカー需要に目をつけて、マンションの住民の方を対象に、アプリで事前オーダー決済をとってから、その下に出来立て弁当を取りにきてもらうことを始めた。
その後、リモートオンライン飲み会用のお弁当を始めた。在宅の方々に、一食分のコース料理をお届けて、参加者が、離れていても同じものを食べながら、オンライン飲み会をする。というスタイルを始めた。

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レストラン釜津田は、お昼8000円、夜で、3万円で、昼夜、1回転くらいになっている。(月商800万円)釜津田の結膳については、月商30万円くらいからスタートして、中食だけで、800万円以上の売上になっている。
高級お弁当のヒットのポイントは、高級感が大切。無難な枠組の中で、特別感をどう出すかが、ポイントになる。お肉、お魚を入れつつ、差別化をどうしていくか。この辺がうまくバランスされていることがヒットの要因になる。粗利で約30%のビジネスになっている。これをOEM化して、今は、全国で約20か所のOEMの生産拠点をもって、ロイヤリティー(約5%)が入るスキームとなっている。

具体的論点

(綿引)
これから、飲食企業がどうすれば、具体的に実践できるかを議論したい。
一般のレストラン展開を行いながら、どうそれ以外の事業を展開するか。人手がいないなら、外注化をどうするか。一般レストランの売上の戻りを見極めながら、どうしていくべきか。ということを議論したい。

(釜津田氏)
ブランドに自信があるレストランは、それを活かしていくことが大切である。
日本の食材を活かして、どう作り手の顔をアピールして、どう売っていくかもあると思う。

(米田氏)
労働人口が減っていくことは、外食としての限界が来ている面がある。多くの会社が、出社日数が圧倒的に少なくなっているためどう対応していくかが急務である。 明らかにレストランとしての提供する機会も減っている中で、どう売上を作っていくかがある。
その中では、例えば、冷凍自販機が売れている実績も確実に上がっている。
(月間300万円売れている焼肉自販機もある)(冷凍自販機が複数おいているところが流行っている。)中食の中でのスタイルが変わってきている中では、軸の一つになりつつある。

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(綿引)
では、これから、どういうレストランであれば、組んでいけるのか。

(米田氏)
まずは、中食に本気がどうかが大切である。どこまで、エンドユーザ―のわがままを聞いてくれるか。ということになる。
例200万円の売上を作るためにどうするかを考えていけるか。ということになる。

(釜津田氏)
単純に考えると、レストランに比べて、原価率は高く、利幅は低い。それに対し、どうビジネスとして専門の会社と組んでビジネスを成立されられるかを考えることが大切である。
目の前の利益にとらわれず、頑張れるか。

(本田氏)
地方の事業に近いものを感じる。地方は、色々な事業を多角化しながら、食っていくことが当たり前になりつつある。
地産地消ということがある中で、地方で完結する考え方がコロナで本当に浸透してきた感じがする。

(米田氏)
SDGSは、取り入れていくべきと考える中、予約方式自体は、フードロスが本当に少ないという現実がある。オンラインの中で、自動販売機含めて、売り行きは一目でわかるので、予測がつけやすく、配送効率も高いこともある。よって、中食事業自体が、そのテーマに沿っている感じがする。

(釜津田氏)
地方は、OEMの件で、全国回ってみて、自分のブランドを活かして、自分たちのビジネスに役立っている実感がある。

(本田氏)
本田屋も、シークリーさんと地方食材を使っていく試みを今後進めていきたいと思う。

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(綿引)
今は、有名店×地方食材のテーマで具体化していきたいという今後やっていきたいと考えている。
又、飲食企業に対し、お弁当ビジネスの利益構造を教えてほしい。

(米田氏)
今日のお弁当を例にとれば、今日のお弁当を例にとれば、食材原価率は、約30%、配送原価は代行で約15%、
自社配送であれば、7~8%にできる可能性はある。そこで浮いた利益を次のメニュー展開を割り振っていく。(直接作って、粗利は約30%)
OEM化すると、レシピ提供他のロイヤリティーは3%~5%となっている。

(綿引)
この辺の利益率は、レストラン事業を考えていくと、決して低い水準ではなく、真剣に取り組むべき内容ではないかと思う。

(釜津田氏)
まず、ケータリングから始め、ハコシェフ他に進み、昨年からOEMを始めていった。
その意味では、まず、直接作ったもので、売上が立ってきたので、初めてOEM化をやる話になった。
まずは、全力で、自社で、売れる商品づくりとブランディングをどう作るかが大切である。
シークリーさんからは、中食での売上が立ってきたので、OEM化を進められた。

(米田氏)
OEM化が成功するのは、ブランドが立っていて、価格設定をしやすく、レシピがシンプルで作りやすい。それでいて見栄えがいいこと。(日本橋玉ゐのちらしなど)
又、仕入れに自信があり、この食材なら安く仕入れて、メニューを作れると名作になりうる。

(綿引)
どこからどうやって、始めれるかということを教えてほしい。

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(米田氏)
いいものをつくるのは当たり前で、ここから簡素化して、原価調整をして、味と見栄えを落とさないことが大切。

(釜津田氏)
こだわりを一旦捨てるこだわりを持つことが大切だと思う。
結局、どこまで簡素化できるかになれるか。それでいて、ありそうでないメニューをどう作るかである。

(綿引)
わかったようでわからない話もあるが、とにかく、やってみることが大切ではないか。
お弁当の次になにが来るか。これが冷凍自販機なのか。という懐疑心が正直あるが、これがなぜ、今後有望かを教えてほしい。

(米田氏)
冷凍自販機については、半信半疑だったが、確実に売れ始めている実績と、労働時間を少なくて済む内容を含んでいることもプラス要因である。
自販機市場は、40億円をどうみるか。旧自販機スペース、旧ATMスペースの有効活用的な市場もあると思う。
ユーザー面としても、かならずしも対面でなくてもいいのか。

(綿引)
どういうメニュー、ジャンルが向いているのか。冷凍食品メーカーとの差別化、今後の自販機の置き場の考え方をお聞きしたい。

(米田氏)
まず、餃子(大衆的なメニュー)がある。又、レンジアップで美味しく食べれるものかどうかもある。単価を上げても美味しさをもとめていることが必須となる。

ピザ等は、お店で出しているものが、冷凍で食べれるニーズもあると思う。
テイクアウトは、忙しい時間に需要があるが、人手がかからず、売上が立つ良さがある。

(綿引)
冷凍自販機を置く場所はどこがいいのか。どこがあるのか。

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(塚本代表)
冷凍自販機は、家でも非日常を体感したいというニーズを満たすツールだと思う。
家でもお店の味が食べられる。飲食店が飲食店に近い場所に設置する傾向がある。
お土産品として、置くことがある。
例1 餃子共和国 餃子の名品を集めている。例2 高級食材を集めているもの
例3 マンションの1階において、家のおかずの一品、朝ごはんの一品
例4 様々な就労時間に対応するニーズに対応する。
共有スペースの中で、複数の会社の共有スペースが1か所に集中している中に、設置する。(電子レンジ付)

まとめ(イートイン以外のビジネスの方向性)

(釜津田氏)
自分は欲があり、色んなことをチャレンジしたい意欲がある。コロナも遭遇すると、なおさら、今の自分で満足してはいけない。という実感がある。
冷凍自販機をとっても、相当な可能性を感じている。色んな方とのご縁を大切にしている。(例 神田うのさんとのパウンドケーキのコラボ)
今後は、いろんな社会施設の方々に美味しいものを食べてもらえるチャレンジをしていきたい。

(米田氏)
食のスタイルが変わってきている実感をもって、常に模索していきたい。
個人のごはんの可能性はもとより、晴れの日のチャレンジ(共通のものを楽しく一緒に楽しむこと)(例 誕生日のパーティー用)

(本田氏)
冷凍自販機の非日常はよくわかりやすくなった。
地方の観光は、昭和 シーイング観光(なにを見たか)(1回いけばいい)
これからは、平成 ドゥーイング観光(なにをしたか)(近場でもできる)
令和 ビーイング観光(誰に会いにいくか)(わざわざ何度も行く必要がある)
これからの食シーンも同様な気がする。
今日のお話は、まさにビーイングの食であることを実感した。

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地方について

(釜津田氏)
安くて気軽なものはあふれている。食材にこだわり、お店にこだわりをもつことが大切だと思う。

(米田氏)
地方については、食材については、とても相性がいい。例えば、会社の経費で、高級市食材が食べれるのは、すごく魅力的である。
有名シェフと地方高級食材をマッチさせることを、会社の福利厚生を活用するとマッチしやすい。

(本田氏)
ZOOM飯というのがあり、ZOOMでシェフが作り方を教えてもらえて、予め、食材等が送られていることが人気でした。その辺もぜひその辺にも検討して頂きたい。

会場参加者・WEB参加者からのご意見

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武文智洋氏(With Green)

チェーン店と個人店では、どんな内容、マー家ティングに違いがあるのか。

(米田氏)
物流のフットワークが大切。直前の対応力が大切。個人店、チェーン店の強みは、同じクオリティを多くのお店の協力でネットワークが使えれば、とても強みになる。 リモートは、全国からのイベントをリアルに比べて経費節約でできる可能性があり、ハラルとベジタリアンメニューがあると、外資系も含めて、対応幅が広がる。

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井上シェフ(ラビスボッチャー)

コロナ以降色々やってきたが、イートインが戻ってきてしまったので、やれる余裕がなくなってしまったが、冷凍自動販売機は、とても興味がある。

(米田氏)
まずは、お店で、冷凍商品を作ってみるところから入ることが大切。冷凍技術も必要なので、デリバリは一番参入しやすいと思う。

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荒井氏(サング)(うしごろ)

イートイン以外の事業は始めは、かなりやってきたが、やはり落ち着いてきてしまっているが、どのようなタームで変えていくべきか。

(米田氏)
通常、通常、半年くらいのタームで変えていくのが目安になる。3カ月間くらいは、新鮮だがそれ以降は飽きられるので、洋食から和食メニューをアレンジしていくという流れが一番効率的だと思う。

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江幡氏(日鉄興和不動産)

冷凍自販機について、飲食店の売上を少しでも上げたいと思う中で、テナントの飲食店に限った商品をおくのはどうか。
デリバリを実際どういう業者が配送していくべきか。

(米田氏)
当然あると思う。冷凍自販機だけではなく、テイクアウト他、施設内だけでなく、周辺エリアを巻き込んで、アプリを入れて、巻き込んでいくキャンペーンを打っていく手法もあると思し、そういうキャンペーンをやった事例もある。
商業施設全体で売上を上げていくことを考えていくことが大切である。
シークリーは、配送手配をしていった。

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平出氏(日鉄興和不動産)

冷凍自販機について、飲食店の売上を少しでも上げたいと思う中で、テナントの飲食店に限った商品をおくのはどうか。
デリバリを実際どういう業者が配送していくべきか。

テイクアウト商品等をつくるところが見えないものを売る手法をどう考えるか。
テイクアウト商品を送るスペースがない場合に、どのようにしていけばいいのか。

(釜津田氏)
みえなくても、お客様に出す気持ちを忘れずに作っていく気持ちが大切。自分が作ったものが少しでも多くの人に使ってほしい。という気持ちもある。
本来は、テイクアウトより、お弁当やケータリングをしたかったが、メニュー毎に容器が違うし、いつになっても黒字化しないし、容器が沢山溜まってしまい、本当にしんどかった。心が折れそうな時期が2年間くらいあった。
オーダーがあったし、忙しいけど、赤字が続く時期が続いた中で、コロナが肩を押してもらったが、意地でも成功させようとしていた。

その意味では、どのようなことがあっても怖くない。

武文謙太氏(WithGreen):WEB参加

サラダボール専門店をやっていて、新規事業をやるかどうかを議論しているが、既存ブランドを損ねないかという意見が出て、なかなか新規に踏み出せない。
その辺をどう考えるか。

(釜津田氏)
まずは、安売りはしたくない。同じ食材は使えないが、最低限の妥協しない点をはっきりさせてスタートした。
安ければ、売れるが、ブランディグを大切にしていった。

(武文謙太氏)
大変な時期から、次のステップに踏み込む場合に行けるきっかけを知りたい。

(釜津田氏)
その意味では、シークリーさんと組んでいけるところから、しっかり売上が立てていけた。

澤田氏(ケイオス):WEB参加

新しいビジネスに関心があるが、テイクアウト他のビジネスに向き不向きがあるか。
料理人の新しい生き方として、副業的なものはどうか。新しい働き方の考え方はどうか。

(釜津田氏)
副業というと、監修、コンサル、コラボ、イベントいうようなものがあると思う。
新しいものを生み出して、そのベースで新しいものを生み出していく。
自分だけの限界があるので、違う世界観を持つ人とコラボしていく取り組みが楽しい。
15年前は、とても自分自身が頭が固かった。最初は三ツ星的料理を目指していた。
その後、自分の中で、相当変わってきた。当初は、お弁当は全て断ってきた。
レストランが全てという考えも理解できるが、それ以外の考えを取り入れられると広がっていくことを実感している。
今が良ければいいのか、困ってから考えるのか、そうではなく、今から考えていく発想が必要だし、だれでもが考え方しだいでできると思う。

(米田氏)
多分、昔の釜津田氏だったら、売れてなかったと思う。やはりお客様よりになれるかどうかの姿勢が大切。

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谷社長(三笠会館)

色んな試みをして、約2年間やってきた。現場のスタッフは、かなり摩耗してしまっている。もとには戻ってない現実もある。今の12月は、昔の12月に戻っていないのに、戻せない実情がある。どう戻していくかを考えていかなくてはならない。

(釜津田氏)
自分は個人店として、国の規則を遵守してきたが、色々させていたので、決して休んでこなかった。お弁当は単価が安くても同じ売上をめざしていたので、コロナ前よりもっと大変だった。止まったら、おわりだと思ってやってきた。

(綿引)
多角化すると、なにかがだめになってもなにかが支えるという意味はあると思う。

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中村氏(招福楼)

非常に複雑な気持ちでお聞きしていた。今日の話は、昔からしてきた仕事のものでばかりである。、仕出し、出前、折り(弁当)という名称になる。コロナ以降は、仕出しが折りに変わってきて、ゴミが沢山でるようになった。
滋賀の本店、全部のことをやってきた、
冷凍のものもいいが、冷凍のもので育った子供はどうなってしまうか。冷凍が一番おいしいと思っていいのか。という想いもある。
お鍋のセットを70セットのオーダーで、料理人9名で、夜中まで作って発送した。当然冷凍ではない。
食品表示はどうするか。(今日のお弁当には表示がなかった)
おせちは、お重分を価格に入れて、次の利用からお重分はひかせて頂く商法してきた。(箱のロスはない)たった100個を徹夜で作っている。
こんなやり方でいいのかと思うが、冷凍のものを子供には食べさせたくないと思う。

(釜津田氏)
想いは一緒だとは思う。食を通して未来を変えたいと思うし、食の現実はもっと、ひどい現実があると思う。冷凍の中でもいい選択、お弁当の中でもいい選択ができるようにしたいと思う。

(米田氏)
お店で食べたいし、好きである。レストランを守っていく中で、レストランを続けるための一つのチャンネルだと思っている。我々の中での売上を作って、おいしいものをできるだけ作っていくためのサポーターでありたいと思う。
食品表示は、今回の場合は、ある特定者が注文したので表示の必要はないが、通常の通販の場合は、表示の必要があり、その場合には表示を作っている。

総括

(本田氏)
最後の質問には感動した。どこまで変えれるか、どこまで変えてはいけないか。
能の世界でも共通するところはあると思う。
だれか、生き様に共感する。リピートする時代になっていると思う。多様性にもなっている。こういう方向には持っていきたいと思っているところはあるが、自分自身として、なにを大事にして、ターゲットにその気持ちが届くのか、が重要である。
その意味では、色んなものがサブスクになってきているような気がする。その人にお任せになっていくかということが大切になっている。
観光では、交流人口と関係人口の関係、飲食店では、一元さんとリピーターとの関係であると思う。一元さんを獲得する努力もするし、リピーターを増やす努力もする必要もある。

(米田氏)
飲食店さんと次にどんな展開を意見交換できる存在でありたいと思う。

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(釜津田氏)
食を通して、今日の参加者の方々と一緒にやれる道を探していきたい。という想いはある。ただ、なかなかうまくいかない面も多々あることも事実である。

それでも新しいことにチャレンジして未来を作っていかないと不安を感じているので、常になにかを仕掛けていきたいと思う。
食べる方と作る方がいい関係であり続けていきたいと思うので、その追及をし続けていきたい。

(綿引)
コロナがいつまで続くのかという想いはあるが、コロナの発生で、将来あるべき姿が急に来たという解釈をしている。その中で、食のスタイルが急に変わっていくことに対しどう対応するかというテーマの一つとして、このテーマを選び、その実践者にご登壇頂いた。
一番いいたいことは、これをきっかけに踏み込む勇気と実行力を、今日の参加者には期待したい。試行錯誤になるが、ぜひ一歩を踏み込んで頂きたい。

第5回 イートキャンパスクラブ特別講座 講座後記

レストランにおけるイートイン以外のフードビジネス展開のあるべき方向性

ファシリテーター イートキャンパス(株)代表取締役 綿引 浩之

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6月に、2周年記念となる、4回目が終わってから、今後の講座のあり方を考えてみた。
今までは、イートキャンパスのパートナー他、色んな関係者に相談して、スペシャルゲスト、講座のテーマを相談してきた。その結果、何とか、ここまで、開催できたと思う。
そろそろ、その動きも一巡してきた。さて、これからどうするか。
やはり、これからは、自分で、講座のネタを考え、自分で、ゲストを探していくべきタイミングに来ていることを悟った。

では、どうやって探すか。又、時期はいつにするか。自分としての結論は、これから、自分が仕事をしていく中で、今まで講座に出席頂いた方、又、自分の関係者で、今後ぜひ講座のご参加頂きたい方にとって、自分と一緒に学んでいきたいテーマが見つかった時に、講座をセットしよう。その時期は、不定期でよいのではないか。但し、あまり、間が空くと、色んな意味で、よくないと思うので、できれば、最低半年毎にはやるようにしよう。という漠然とした構想はできた。

しかし、そんなことを考えていると、あっという間に、3カ月が過ぎてしまった。
もし、最低半年毎に開催するのであれば、そろそろ準備を始めないといけない。という意識が出てきた頃だった。
実は、昨年(2020年)6月に起業してから、ほどなくして、大学時代の友人から、私が長らく三菱地所で、飲食関係の仕事をしていたことを知っていることから、こんな相談が舞い込んできた。
自分がたまに行く、行きつけのお店で、すごくおいしい高級店が、キッチンカービジネスを始めている。三菱地所関連で、どこかいい場所はないか。というものだった。それが、麻布十番の「釜津田」さんだった。

ほどなくして、パートナーの方と一緒にお会いした時に、釜津田シェフと一緒にお会いしたのが、シークリーの米田さんだった。
その後、三菱地所関連のキッチンカーの適地を探してみたが、なかなかすんなり決まりそうな場所がなく、時間だけが過ぎっていた。
そして、今年の8月くらいになり、シークリー米田さんとの話の中で、高級弁当がすごく人気になっていて、私が知っていて、コロナ後、なかなか本業のレストラン事業がうまく収益が上がっていないと思われる、有名店を紹介してほしいという依頼があった。

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釜津田氏資料より

私も、起業以降、特にコロナが来てから、ポストコロナを見込んだ、飲食店の多角化にむけてのお手伝いの一環として、こうしたイートイン以外のビジネスのお手伝いができないかと思っていたので、すぐに、何店かをご紹介した。
そんなことをやっている中で、そうだ、次回の講座は、このテーマにしてはどうか。そして、まさに最前線で、十分、実績を出されている、釜津田シェフとシークリーの米田さんにご登壇をお願いしようということがひらめいた。
そして、依頼。お二人とも二つ返事でご了解頂けた。

こうして、イートキャンパスクラブ特別講座5回目にして、ようやく自力での発掘、交渉による、講座開催が決まった。
又、前回からは、前職の社員の方のサポートから、私の拠点で、特別講座の開催場所である、大手町サンサンラボで、御一緒させて頂いている方を通じて、学生アルバイトの方々を中心に講座運営のお手伝いを頂いたいたが、今回も、同じスタイルかつ、前回迄無料配信していた、オンライン参加者の方にも有料化(WEB参加者一人3,000円)する試みを行うこととなった。

ようやく、10月25日から、飲食店も通常営業が再開できるようになり、飲食店もにわかに忙しくなる兆しが見えてきた中で、何とか、年内での開催で調整した結果、年末のかなり忙しい時期になりそうではあったが、12月9日(木)で何とか最終調整までこぎつけた。

そして、3人での事前打ち合わせを行った。改めて、お二人、夫々の今までの経歴と、出会い、そして、今の展開がある状況を知った。
そして、今までのご登壇者との違いは、この手の講座がほぼ初めての経験になること。これはある種、とても新鮮な感覚も覚えた。
そして、講座当日のビジュアル資料は、アーカイブ時には、完全公開を前提に、釜津田シェフのものは、こちらでの作成となり、米田さんは、ご自分で作って頂くことになった。

次に、非常事態宣言が明けてからの会場の運用はどうなるのか。以前のようにお酒の提供はできるのか。結果は、お酒はNG。非常事態宣言時、同様に、お弁当のみ持ち込み可の個食スタイルのみの許可となった。かなり残念だったが、せっかくなので、従来のパターンではなく、釜津田さん作成のスペシャル弁当に決定した。

前々日に、ようやく、ビジュアル資料が揃ったところで、サブゲスト米田さんから、事前最終確認を兼ね、前日で事前確認会のリクエストがあった。
通常は、ゲストが忙しい方々で、なかなか事前、しかも直前での打ち合わせができないまま、本番を迎えることが多かったので、この申出は本当に有難かった。
又、今回、初めて導入した、講座参加費の事前決済システム(Peatix)の申込状況がとても気にもなり、これも含めて、参加人数がとても気になった。
最終的には、会場は、人数制限下では、ほぼ満席の40名となり、やはりホットした。又、今回から、開講時間を4時間から、3時間に戻し、30分の予備時間で実施での開催とした。

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いよいよ、講座が始まった。少しだけ、ビジュアル資料をお見せするときに、手間取ったが、その後は、問題なく進行した。
釜津田シェフの、シェフとしての料理、レストランに対する熱い想いはひしひしと伝わってくる。考えてみると、イートキャンパスクラブの特別講座としては、初めてのシェフ(料理人)の方のご登壇だった。
そして、米田さん、こちらは、対照的にすごく、クール。淡々と、今までの事業変遷を語られる。釜津田さんの売上推移や、売れるお弁当の秘訣やポイント、わかりやすく、簡潔にお話頂いた。
そして、飛び入りで、シークリーの塚本代表、冷凍自動販売機「ど冷えもん」のお話。これは反対にとても熱い。(塚本代表ご自身、私が一番詳しく、情熱を注いでいる雰囲気満点)

本来、高級宅配ビジネスに一番フォーカスする予定であったが、意外に、「ど冷えもん」も反響が多かった。
説明を聞きながらも、改めて、イートイン以外の食ビジネスの急展開の流れを感じる。でもお二人は、これを一つずつ大事に育てている感じで、流行りに乗っているだけはない感じがとてもよかった。

今回の講座での私のまとめは以下の通りとなった。

  • 1.おそらく、どの飲食店も、コロナ前にイートインのお客様が戻ることは見込めないはず。

    その中で、従前以上に、お店に来られるお客様に満足頂けるものを提供するには、イートイン以外のビジネスで、経営を底支えしていかないと立ち行かなくなる現実を踏まえて、確実に実践していくしかない。

  • 2.当たり前だが、新しいビジネスは、最初からうまくいくことはまず見込めない。

    うまくいかないところからどうやって、採算に乗せていけるか。どうやって、お店のスタイルを創り上げるか。粘り強く成功する強い意志でやり続けるしかない。

  • 3.ビジネスの成功は、自分たちの強みをどこで持つか。差別化をどうするか。

    そして、どうそぎ落としていけるか。簡素化できるか。(こだわりを捨て、こだわりを再び持てるか)

  • 4.どこまで変えれるか。どこまで変えてはいけないか。
    その間で、なにを選択していくか。
    これは、ある種お客様次第であり、店主次第である。

    共通するのは、お客様に喜んで頂きたいという真心が全てである。
    やはり、正解はないと思うが、やってみないとなにも始まらない。後退があるだけである。この状況にどう立ち向かうか。どうチャレンジするか。それは、各人次第になる。おそらく、来年2022年にその真価が、結果となって表れてくる時期になるであろう。

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講座全編はこちらよりご覧ください

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