イートキャンパスクラブ

第4回 特別講座 
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2021年6月28日(月)開催
イートキャンパスクラブ 第4回 特別講座

「サステイブルレストランとして日本がやるべきこと」

【登壇者】

メインゲスト
下田屋毅氏(日本サステイナブル・レストラン協会代表理事)
サブゲスト
表秀明氏(InnovationDesignサステイナブルデザイン室長)(同協会会員)
ファシリテーター
本田勝之助氏(本田屋代表)、綿引浩之(イートキャンパス株式会社代表取締役)

講座ダイジェスト

(本講座は討議のキーワードを拾いました)

以下から本講座の資料をダウンロードいただけます。

日本サスティナブルレストラン協会活動紹介(同協会下田屋氏)

(下田屋氏)
2007年にイギリスへ渡航。環境、ビジネスを勉強後、2010年にイギリスでサスティナリティに関する会社を起業した。
欧州と日本のサスティナブル活動をつなぐ役目を担ってきた。
ロンドンで実際に活動をしている中で、サスティナブルレストランアソシエーションと出会って、日本サスティナブルレストラン協会を設立するに至った。

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世界からの食材が作られている環境を掘り下げていくところから始まった。
現代は農薬の散布で土壌からの二酸化炭素を放出してしまうというような、(地球環境を悪化させる)様々な現象が複雑に絡み合っている現象が起きている。
遺伝子組み換え作物の問題、動物虐待をしてきた食物を食べていることや、フードロスをどうやって防ぐか。それを考えながら、どう実際に食していくのかを考えていくのか。
自分たちの行動をどうように変えていけばいいのか。
英国で発足した団体であるサスティナブルレストランアソシエーションは、2010年に立ち上げた。

2020年7月に、正式に日本サスティナブルレストラン協会を発足した。 ロンドン他欧米では、12000店舗が加盟している。ワールドレストラン50の指標にも、同協会の指標が選ばれている。 同協会メンバーの中核が、まさに飲食店のレストランシェフになる。

実際には、サスティナブル活動を推進するには、レストランだけでは非常に厳しく、消費者の理解と協力が必要となる。(どのようにしたら推進しているレストランを利用してもらえるか)
いかに一般消費者がこうしたサスティナブル活動を推進しているレストランを利用しやすくするかが、同協会の大切な役割になっている。
消費者の間に入って、いかにPRしていけるかがポイントになるし、企業の方にも協力して頂き推進できるかも大切になってきている。
レーティングに基づいて、その店舗、企業等のサステナィビリティの状態を確認する。

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  • 調達
    (地産地消、水産資源に配慮した魚(絶滅危惧種は使用しない)(未利用魚の使用)、旬の食材の利用の推進、ベターミートの使用(人道的視点で飼育された肉(アニマルウエルフェア)フェアトレードの食物の使用促進)
  • 社会
    (従業員の公平な評価・処遇)(地域コミュニティの支援)(健康的な食事の提供)(ビーガン、塩分の適正化)
  • 環境
    エネルギー資源(特に電気)(再生可能エネルギーの使用)(プラスチックを使わない、再利用可能物の使用)
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レーティングの評価は、約250項目の自己評価からスタートしていく。その後、一緒に実際の取り組み方法を協議していく。
活動が開始されると、実際に推進できているところと、できていないところが顕在化してくるので、どのようにそれを見て、変更していくか、修正していくかを検討、実行していく。
オンラインコミュニティを進めていくが、未だ日本では23店舗に過ぎないが、海外では多数参加されているので、オンラインでの情報交換は可能である。
イギリスの協会以外でも一緒に情報交換できる組織がいくつかある。

開発ベースターゲット

お皿単位で二酸化炭素の排出量を算出して、いかに減らしていくかを検討していく。
イギリスでは、2010年からはサスティナビリティのアワードを開始している。
台湾でも、ギリシャもやっている。スイス、マルタ他で、同活動は確実に広がっている。
まずは、50項目を自己分析していくところから始めて頂きたい。
最後に入会までのプロセスを簡単に説明させて頂く。
飲食店6万円/年、サプライヤーメンバー15万8千円/年、企業パートナーシップ30万円/年)

サブゲストからの実例紹介(イノベーションデザイン表氏)

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サステナブル活動を始めて、ようやく1年半がたった。その事例を紹介させて頂く。
経営ビジョンを構築しているところを、紹介する。
まずは、地球の未来をどう切り開けるか。
食を通して、社会的課題を解決する。
おみやげを通じて、社会的課題を解決する。
組織の力を通じて、社会的課題を解決する。

今、3つのレストランを経営している。
最初のきっかけは、一枚のドライフルーツからスタートした。
ある農家さんからフードロスを知って、6,120,000トンのフードロスが発生している現実を知った。これを解決していくことを目標にした。
横浜で、国際会議があったのに、サスティナブルブランドジャパンという国際会議に出席したのが、きっかけ。
そこで、食品ロスだけでなく、あらゆる社会問題があることを知った。
自分たちがやるべきことをやるだけであることも実感した。

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その後、すぐに日本サスティナブルレストラン協会に入会した。
ビジネスのスタンスで、いかにこの課題に取り組むことが大事かを知った。
その時に、フードメイド50という基準を知った。
これをやればいいんだという光が見えたところから、スタートした。
調達と環境という問題があり、課題が明確化した。100点中、42点からスタートした。
この診断結果から、自分たちがこれからやるべき課題が明確化された。
ようやく70点以上が見込まれるようになったので、そのプロセスをお話したい。

コロナ禍で、社員教育を徹底していった。 現場スタッフ全員がいかに理解していくかを考えた。 ここで、スタッフ全員に課題を出した。

課題

ある社会的課題の背景を調べさせ、社員全員が各々具体的提案を提案させ、社員全員の前で、説明させた。
これによって、社員各々の課題を共有し、その解決策も共有できた。
(例 CO2削減の具体的事例を発表し、社員で共有した。)
(例 アニマルライフ 平外卵がどうなって生産されているかを知る)
(例 海洋生物が絶滅にひんする原因を共有し、どうよう行動をどうするかを知る)
(例 畜産による森林伐採問題を共有する)
(例 フェアトレードがどうして必要なのかを共有する)

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実際の取り組み

  • おすそ分けプロジェクト
    無料でおすそ分けをお客様にする替わりに、フードロス対策をお客さまに知ってもらう活動をした。
  • コンポスト化の実施(生ごみの廃棄量を減らした)
    全社員で生ごみを細か刻んで早くコンポスト化が進む作業をしていくと、自然と生ごみ自体が急速に減っていた。
  • 兵庫県芦屋のイタリアン BOTTEGA BLUEの食品ロス対策を学ぶ
    食品ロスを減らす意識より、おいしくなれと思って料理をしたら、結果食費ロス0になった。という事例を勉強。
  • より、多くの野菜とベターミートの資料
    畜産業が導くCO2の影響
    ⇒ミートフリーマンデー(肉無しランチを出す)(いかにCO2を排出しているか)
    • 500円で、ミートフリーランチを提供
  • エネルギー資源の有効活用
    まず、調査シートで、現状を知り、課題を知る。
    ⇒再生エネルギーへのシフトにしていく意識を持つ。
    • テナントは、エネルギー毎変更できないので、Jクレジット制度を知る。
    • 再生可能エネルギー支援にお金を使うことで、相殺できる制度
  • 認証ラベルの利用
    グッドフィッシュガイドの確認
    絶滅危惧種を使っていないか。
    ⇒様々なサスティナブルラベル
    • 乱獲につながるお魚を使っていない。
    • 水産エコラベルの認証の確認。
    • 今後、どう使っていくかが今後の課題。
    • トレーサビリティがはっきりしているお魚だけを使うことを実施。
    • 特定漁師からの未利用魚(雑魚)の利用の徹底。
    • 環境負荷の少ない魚を利用する。
    フェアトレードマークを使用
    • コーヒー、スパイスの認証商品に変更
  • 企業、飲食店舗が担う、サスティナビリティのあり方
    ビジネスを進める中心に置く意識が大切。勉強して学んだことを都度実践することが大切。

ファシリテーターを入れた議論

フードロスの実践(実際どう踏み込んでいけばいいか)

おすそ分け活動の実践
安くする値引き交渉は一切しないが、農家さんが決めた値段では引き取っている。

(下田屋氏)
農家で出てしまうフードロスをどうしていくか。出荷されず捨てられてしまう前に仕入れていく努力。協力が大切。
熟れすぎた果物の一部利用を実践する。逆に熟れていないものも通常商品と一緒に仕入れている。生産者と一緒にフードロスを削減する努力を実践することが重要。

(本田氏)
生産現場側のフードロスをどうするか。⇒定額で生産物を買い取る制度がある。(欧米)
これを日本でも導入する事例があってもいいと思う。
とにかく、送ってもらって、レストラン側で、提供を考えていく努力をする。
メニューに余白を残していく。
その時に対応する努力をすることが大切。
途中ではねてしまう野菜、果物を活かしていく、利用していく努力をしていくのはどうか。

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(下田屋氏)
フードレスキューという制度があり、このような問題、課題をどうやって解決するかは、同協会ではやっている。

(綿引)
レストランは、既存の仕入れ先とどう話し合っていくかが大切だと思う。

(下田屋氏)
生産者さんと一緒にレストランが考えること。又、お魚の例でいえば、取引業者が認証人を扱っている仕入れ先を採用していくことも大切になる。
仕入れ先と一緒に勉強して、具現化していくかが大切。

コンポスト化とフードロス削減の具体的方策

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(表氏)
実際は、現場でも、ゴミを捨てに行く人しか知らないところが多いが、我々は、店舗内で店員がいる中で、計ってから捨てにいくことを実践して、全現場スタッフで実感させた。

(綿引)
全体的目標をどうするか。

(表氏)
現実的には、店舗単位でしかやれていないので、施設全体で実践していければいいと思う。

(下田屋氏)
未だ、東京で、コンポストを回収できるところもなかなかないようなので、そういう流れをどうやって作っていくかが大切である。

(綿引)
今日、お弁当の食材提供でご参加のCOROT峰岸さんも東京圏の農家のネットワークをもっているので、今後、そうしたネットワークをもっていけばいい。

(本田氏)
昔、東京のコンポストを会津で使う事例や鹿児島では、麹菌を使って飼料化をして、健康な飼料を使っている事例もある。

肉は地球環境に負荷をかけている問題をどう解決するか

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(表氏)
ビーガンをどうするか。牛肉が悪ではないが、そのままではいけないでの、少しでも野菜シフトしていくことが大切だと認識して、行動している。
代替え肉を採用している。

(下田屋氏)
お肉を排除するだけでなく、アニマルウェルフェアの採用や、大豆ミートでも中身の確認を大切になってきている。(本当に体にいいものを使っているのか)

(本田氏)
肉のブランディングの講座で、代替肉のブランディングを話題にしたが、難しかった。
ジビエの問題はどう位置付けられているのか。

(下田屋氏)
ジビエは、下処理場が整えば、進めていく必要があると思う。

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(綿引)
将来的に、売上向上、コスト削減にどうつなげるかという問題をどうするか。

(表氏)
サスティナブル活動を行うことで、集客につながっていっていることは確かである。
一つの試みの一つして、お客様にメニューの価格を決めてもらう試みをした。
その分、気づきを説明できた分、単価が上がった面はある。

(下田屋氏)
アイエスフォアグッドというメディアで、サスティナブル活動をPRした事例もある。
シェフからの発信を協会が後押しした事例もある。

(本田氏)
宮古島ではエコアイランド構想を掲げて、子供たちでビーチクリーニングを行うと地域マネーを発行して、お店負担で子供たちに渡しているが、この協力店舗は、必ず、流行る傾向がある。地方の若者ほど、そうしたSDGS的意識は高くなっている。

(綿引)
そういう意味では、日本サスティナブルレストラン協会がぜひ推進役として、活動してほしい。

再生可能エネルギーを推進するにはどうすればいいか。

(表氏)
自分たちは、一店舗に過ぎないが、事業者自身が自ら仕掛けていき、それに集まる店舗を集める動きが出ていくと思う。

(下田屋氏)
今は、再生可能エネルギーを研究するとかえって下がる場合もあるので、調査する価値はある。

(本田氏)
カーボンニュートラルをどうするか。トヨタは、カーボンニュートラルを推進しない企業からは、商品を変えなくなる現実がある。(企業主義)
メルボルンでは、最高のグリーン配慮の商業施設が利用者増になった。(含むネット販売)今後は、そういう意識が急速に進んでくると思う。

会場参加者・WEB参加者からのご意見

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武文謙太氏(With Green)

利益率が高くない業態で、どこまでSDGSに踏み込むべきか。(単価に転嫁する。別途お客様から徴収するか)

(表氏)
容器は、分解性に高いものに変更したが、コスト分析はできていない。
ストロー自体をやめたり、(かならずしもお金をかけない)やり方は、色々ある。

(下田屋氏)
サーキュラーエコノミー的視点では、リユース的見地で検討することはあると思う。

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柳田氏(元JR東日本出身)

サスティナブルと遺伝子組み換え、サスティナブルとアニマルウェルネスの関係は?

(下田屋氏)
遺伝子組み換えと農薬をどう使うかということがサスティナブルとつながっていくと思う。
アニマルウェルフェアは、畜産としては、飼料とか育て方が、サスティナビリティと直結していると思う。

(表氏)
アニマルウェルフェアは、卵、肉は、普段なにを食べているかは、非常に重要になってくると思う。

(綿引)
やはり、サスティナブル活動を企業、店舗がどういうものを採用するかという考え方によると思う。

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島田氏(オムトラック)

コロナ禍で、お弁当、キッチンカーが流行っているが、その関係で、容器のゴミが増える傾向にあるのを、コストが限られている中で、どう対応すればいいのかを悩んでいる。
うまくやられているいい事例があれば、ぜひ教えてほしいが、業態別にレーティング基準はどうなっているかを教えてほしい。

(下田屋氏)
レーティング基準は、一緒である。キッチンカーは、未だ経験値が少ないので、イギリスの事例を調べていきたい。
レーティングを上げることだけが目標ではなく、どうサスティナブル活動を実践するかが課題だと思う。その中で、コストアップを最小限にするやり方はあると思う。
将来には、レーティングを含め、サスティナブル活動評価がお店の売上にプラスになることを指標にすることはある。(サスティナブル活動の星付がプラスの影響になる)

(表氏)
ビニール袋を有料化する方策もあるが、紙袋を回収して、お店のステッカーを張って使うことで、お客様とコミュニケーションが生まれる良さが出た。
今後は、自分の弁当箱をもってきてもらうこともあると思う。

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江幡氏(日鉄興和不動産)

実際にレストランをやっている方の意識の高さを知ったが、なかなかコストがかかって、実現できないことが多いと思うが、どこから、デベロッパーはやっていけばいいと思うか。

(下田屋氏)
まず、レーティング評価をデベとしてやってみると、やれているところとできないところが明確化するところからやってみるといいのではないか。

(表氏)
業界と業種を超えた競争が厳しいので、施設内のテナントで一緒にやることにつなげてほしい。

(下田屋氏)
消費者意識がまだ低いので、消費者意識を高める活動をデベロッパーと一緒にできればいいと思う。

(本田氏)
実家は、米屋で、30キロの米袋を、ファッションのタグに使うところがある。このように、しかけをデベがしていくことも大切だと思う。

(綿引)
デベロッパーが、周辺ワーカーを消費者で巻き込むことも大切だと思う。

(柳田氏)
食べ手というサイトがあり、周辺ワーカー向けにこのままだと廃棄されるものを告知するサイトを作ったら、そのエリアで、廃棄がなくなった事例があった。

(綿引)
コンポストの実践をどうするか。COROT峰岸さんに聞いてみたい。

(峰岸氏)
NEO FARMERSでは、鶏糞を無料で、取りに来る方でいらっしゃるのをネット情報でつなげていくことがある。

(綿引)
エシカル商品を推進する具体策は今後の課題になると思う。

志宮氏(ザート商会)

生ゴミ削減はすべき課題の一つだと認識だが、今まで全くやっていない現実がある。
どこからやっていけばいいのかをぜひ教えてほしい。

(下田屋氏)
お魚の減っている魚種を知るところから始めることが大切である。未利用魚を利用していくことを検討するとか、いくつかあると思う。その上で、認証品を取引できるかを検討すればいいと思う。

笹野氏(パレスホテル):WEB参加

来月から東京野菜を使うことを始める予定で、かつ規格外の野菜も使うことも検討している。コンポストも利用していて、山梨のなし農家さんに出して、それを使うことも行っている。有機栽培は難しいと思うが、有機栽培とSDGSの関係を知りたい。

(表氏)
有機野菜を植えることで、農薬が減少する。⇒土壌が豊かになる。⇒海の栄養バランスがよくなる。⇒海の中の酸素バランスがよくなる。地球環境のバランスがよくなる。
一つの事例としては、こうしたことが考えられる。

(下田屋氏)
有機野菜は、生物多様性が改善する点でもSDGSとしては、よくなると思う。

総括

どこから、サスティナブル活動をやればいいのか。どこから始めればいいのか。

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(本田氏)
ホールアースカタログ(ヒッピー世代が、もっと地方で暮らそう。というやり方のカタログが出た)このようなサスティナブルカタログがあったらいいと思う。

澤田氏(ケイオス)
都心における地産地消は難しいと思うが、半径80キロの根拠、ジェンダーとサスティナブルな考え方を教えてほしい。
最もなお話ばかりだったが、実際どう進められるが、問題だと思う。エンドユーザ―、レストラン視点、色々な視点の必要性を感じた。
サスティナブルのものをいかに腹落ちできるかが大切だと思う。

(表氏)
半径80キロは、イギリスの協会の基準に則っている。人権問題は、難しいと思うので、今勉強中である。

まとめ

(綿引)
サスティナブル活動は、分かりやすいもの、腹落ちするものが必要だということを実感した。

(下田屋氏)
日本でいかにサスティナブル活動が推進できるのかを検討している段階である。
実際は、試行錯誤の段階である。やれる内容の幅が広いので、関心があるところから始めて頂くことが肝要だと思う。

(表氏)
会社の方向をサスティナブルに振るという決断がベストかどうかはよくわからなかった。
一旦自分で言った情報は、自分で腹に落ちていく。
まず、できるところからやった。ペットボトルを禁止して、マイボトルから始めた。
マイニーズというアプリがあって、お店を給水スポットにしていく活動を始めていく。
いかに自分事に変えていくことが大切だと思う。
古いものを使う、帰る。ファッションから入る。色んな視点がある。やれるところから始めればいいと思う。

(綿引)
これをきっかけに、日本サスティナブルレストラン協会と情報交換を始めてほしいし、どこから実践するかを考えて実行して頂きたい。

第4回 イートキャンパスクラブ特別講座 講座後記

サステイナブルレストランとして日本がやるべきこと

ファシリテーター イートキャンパス(株)代表取締役 綿引 浩之

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前回、第3回目を、何とか、年内ギリギリに終え、ホットして、年を越した。
ここまでは、昨年6月の設立記念講座以来、何とか、3カ月に1回のペースで、開催にこぎつけた。
そんな中、ご承知の通り、コロナの感染者数が急増し、1月8日から、第2回目の緊急事態宣言が発令された。
当時は、相当な期間の長期化が予想され、世の中と、飲食業界は、かなりの危機感に見舞われた。
やはり、コロナは、相当長期化を覚悟しないと乗り切れない。という厳しい見方が蔓延していた。

さて、この中で、次の講座の時期とテーマ、ゲストはどうするか。悩ましかった。
自分の中の結論は、設立時に敢えて、この講座を立ち上げた感覚に近かった。
こんな状況だからこそ、継続すべきだし、明日に立ち向かえるテーマで開催すべきだ。
では、具体的なテーマ、ゲストはどうするか。どう探すか。

設立記念講座時は、三菱地所時代に立ち上げた、丸の内食コトデザイン研究所第1回食講座のゲストの方からのご紹介、2回目、3回目は、イートキャンパスのパートナーからのご紹介となっている。
又、講座内容は、1回目、2回目は、コロナ禍で、飲食事業の第一線で、コロナを乗り切る手法を実践されている経営者にご登壇頂き、前回3回目は、ポストコロナを見据えた、これからの食トレンドをビジネスとして実践されている方となっていた。

このコロナの長期化の傾向を考えると、やはり、ポストコロナというか、コロナにとらわれないテーマで、今後の飲食ビジネスとして、やるべき内容を、より実践的にお話できる方、内容がベストではないか。という仮説を立てた。
その中で、原点回帰で、三菱地所時代からの同僚で、本講座会場かつイートキャンパスの拠点の一つである、サンサンラボの紹介者である、井上成さんに、素直にヒアリングを行った。井上さんは、私が三菱地所時代には、食育丸の内関連や、その他食関連でも色々意見交換をしていた関係者の一人だった。

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井上さんからは、開口一番、「綿引さん、これからは、SDGSテーマも、飲食でも欠かせないテーマななずです。その点で、最適な方がいらっしゃいます。」
と、すぐに、同じ、三菱地所の方を通じて、日本サステイナブルレストラン協会の下田屋代表理事をご紹介頂いた。

その後、まずは、オンラインでの下打ち合わせを実施したが、自分の中で、ある程度、認識していたはずのサステイナブルのテーマ認識の狭さを痛感した。
こんなにも、他領域で、取り組むべきテーマが多かったとは。

但し、この内容を詳しくご説明頂いただけだと、飲食経営者にとっては、どこから、どう具体的に取り組んでいいのかがわからなくなってしまう。
誰か、このテーマを実践されいている飲食経営者がいないものか。

すると、下田屋さんから、それなら、イノベーションデザインの表さんがいます。と快く、ご紹介頂き、再度、オンライン会議を設定した。
表さんから、飲食事業の現場の責任者も兼ねたお立場として、資料も含めて、実際の導入するに至った経緯から、現場に落とし込むまでの苦労話、実際、現場で、どのように実践されているかのリアルなお話が伺えた。
この方とコラボ対談であれば、きっと、飲食経営者も腹落ちでき、具体的なスタートアップのイメージが湧くはず、という確信がようやくできた。
これが、3月中旬。まだ、非常事態宣言は続いていた。

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3カ月1回のペースでの3月開催は困難となり、一旦4月下旬で、仮設定してみたが、その後、年度末業務も重なり、参加者宛のご案内含めて、開催準備が間に合わない。いっそ、イートキャンパス(株)1周年記念として、6月まで延期したほうがよい。との判断で、やむなく、6月へ延期が決定された。

結果としては、第3回目の非常事態宣言が明けてすぐに、6月28日開催となった。これで、かなり、こちらも気が楽になったことは、否めなかった。

その後、スペシャルゲストの下田屋さん、サブゲストの表さんとは、何度か、打ち合わせを行い、事前の相当詳しい資料も作成頂き、本番を迎えられることになった。

講座当日は、まずは、下田屋さんから、素晴らしく、奇麗のまとめて頂いたビジュアル資料(別添参照)にて、食の世界における、サステイナブル問題、課題はないかということを、欧米でのご経験値も合わせて、とても分かりやすくご説明頂いた。
次に、海外における、レストランにおけるサステイナブル活動の変遷、同協会のレーティング等の考え方のご説明、最後には、同協会の世界ネットワークにおける日本の位置づけと、日本における活動内容をご説明頂いた。

次に、イノベーションデザイン表さんから、これも素晴らしくまとまってわかりやすい資料(別添参照)で、ご説明が始まった。

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まず、サステイナブルテーマに出会うきっかけ(1枚のドライフルーツ)から、同協会の存在を知る。
50のレーティング基準を知り、試してみる。(最初は、100点中42点)
その後、スタッフ全員でこの問題を勉強し、各自が興味のあるテーマ、課題を発表しなう場をつくり、現場のモティベーションを高めた。

そして、実践編のお話。各パートナーの協力の元、フードロス対策(コンポスト化、そもそもの食品ロスの極小化チャレンジ、ベターミート化の実践(週1回ミートレスランチの実施)、再生エネルギーの導入(Jクレジットの導入他)、最後には認証ラベルにより様々なサステイナブル活動の拡大(水産エコラベル、フェアトレード認証他)

こちらも資料も含めて、とても分かりやすかった。
そして、議論になった。
この中の議論のテーマは、下記の通りで、詳細は、まとめの通りになるが、私の中での整理は下記の通りであった。

そして、これからのトレンドに入る。
例としては、

  1. コンポスト化とフードロス削減の具体的方策
    イノベーションデザイン表さんが言われた通り、まずは、食品ロス自体をどこまで少なくできるか(食べきるか)に尽きると思う。 その上、残りをコンポスト化して、再利用、再循環にむずびつけるかだと思うので、コンポスト化以上に食品ロスを削減する具体的政策(例生ごみの重量課金制の導入他)が同時に必要だと思う。
  2. 肉の地球環境負荷の問題解決
    これは、実際、肉に関する産業、関係者が多数いる中では、すぐになくすことは困難だが、確実に減らす努力をいかにすべきか(例ベターミートとの選択メニュー化(ベターミートの味の向上化)
    非肉での美味しい料理(例 メインを肉以外でいかに満足感をつくるか、
    (参考としての日本の精進料理)を作り出すか、選択肢にいれるか。
    (例コース料理、アラカルトメニューのメインメニューの選択肢の中に非肉料理を入れていくことを一般化できるか)
  3. 再生エネルギーを推進するにはどうすべきか。
    イノベーションデザイン表さんがいわれた、Jクレジットの利用は、あまりに飲食テナント側に費用不可をかけすぎる。
    今こそ、商業施設側、建物オーナー側は、部分的でもいいので、積極的に再生エネルギーの利用を促進させ、現場の店舗側が、お客様に積極的の再生エネルギーを利用している店舗であることをアピールできる環境にして頂きたい。(それが、施設側の評価も上がる相乗効果ももたらす)

このような、議論の上、まとめにある通り、いくつかの参加者の方からの積極的な質問があった中、今回の講座における、私のまとめは、下記の通りとなった。

まとめ
サステイナブルレストランとして、取りうる選択肢は、本日、皆さんで学んだ通り、多岐に渡るので、余計に、どこから始めるか、なにかやるかは、その企業、お店を考え方次第になるのではないか。
それは、まずは、経営者がどうすべきを考えるべきだと思うが、その仮説は、本来、実際。日々の運営をして、利用者とのコミュニケーションをとっている、現スタッフとよく話し合って、試行錯誤した上で、その企業、お店の経営者とスタッフが同時に腹落ちするもの、やってみようと思えるものからスタートすべきだと思う。

さらには、批判を恐れず、もしくは、批判にめげず、都度、お客様に対し、説明、訂正、修正をする覚悟をもって、実施内容の公開、告知、PRを積極的に行うべきだと思う。
やがては、このチャレンジ(導入)の度合、特色、ポリシーが、レストラン評価の上位に来る時代はすぐそこまで、もしくは、もはや来つつあると思う。
又、忘れてはいけないのが、対象となる店舗の施設オーナー側の理解と協力体制だと思う。

フードロス対策や、再生可能エネルギーは、まさにオーナー主導で、一括対応ができると、早道であり、かつ効率的であり、お互いにとって、相乗効果が生まれるはずである。
今回、参加頂いた参加者、関係者から、率先して、そのモデルを作っていきましょう。

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講座全編はこちらよりご覧ください

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